雨に唄えば【電子書籍】[ 片岡義男 ]

雨に唄えば【電子書籍】[ 片岡義男 ]

カメラとビー玉<br>何も起こらない小説、と言ってみたくなる。

<br>それはもちろん嘘で、ここには女と男が登場し、<br>女は仕事をこなし、男は女を送りおどける役目を果たしている。

<br>それは非合法に抵触しているものの、そのことによる翳りも屈託も、そして危機もない。

<br>すべては淡々と過ぎて行き、彼女と彼はどちらかといえば陽気である。

<br>世間にはカメラやビー玉で妙な遊びをする男もいるが、それも驚くようなことではまったくない。

<br>むしろ関心は雨が降るか降らないか、そちらのほうだ。

<br>降りだした雨には、演歌がよく似合う。

<br><br>【著者】<br>片岡義男<br>1939年東京生まれ。

早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。

75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。

ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。

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